相澤 寛(茨城県弁護士会所属)
東京都文京区出身(窪町小,文京一中,都立竹早高校卒)
銀行勤務時の末期,不良資産を回収する部署に在籍しておりました。
そこでは,日本の企業が,日本で調達した円資金を外貨に換えて,海外の不動産(ホテル・ゴルフ場等のリゾート施設が主)を購入したものの,途中で事業として成り立たなくなり,デフォルト(債務不履行)が発生したようなケースについて,企業(債務)整理を行うような仕事をしておりました。担保権者の役割・責任が,日本法と米国法とでは,大きく異なることから,本当に毎日が新発見でした。その際は,国内外の大手法律事務所の弁護士の方と,クライアントの立場から一緒に仕事をさせていただく機会に恵まれました。
さらに言えば,大企業融資担当部署在籍時,とある上場企業グループからの債権回収策や,外貨資金調達部署在籍時,米国市場における債券発行契約内容のチェックでも,上記とは別の国内外の大手法律事務所のお世話になっておりました。これらの経験が,後に,弁護士を目指す大きな動機になったわけですが,同時に,依頼人の立場から評価される弁護士とはどのようなものか,という視点を理解することができました。
若い時分に,外国為替・外貨資金のディーラーを数年やっていた経験がありますので,いわゆる相場物にも感覚があります。このときの経験は,自分のその後の人生観にもかなり影響を与えていると思います。
その中でも特に,昭和60年9月22日のプラザ合意(ニューヨークのプラザホテルにて先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議がありました)翌日の,月曜日シンガポール市場で迎えた為替市場の大激変(東京市場は秋分の日で休み,1日で為替レートが20円近く動きました)は忘れられません。このときは,情報というものは,単に収集するだけでなく,それを分析して自らの意思決定に役立たせてこそ重要だと実感しました(同じ情報を与えられても,それから得る結論が人によって大きく異なるのはよくあることです)。
個人的には,長銀の経営破綻前後の経験から,組織の意思決定過程・リーダーシップのあり方,組織の中の個人の役割,危機時期におけるリスク管理等に関心を持っています。ここで深入りはしませんが,組織・集団の存続自体が危機に瀕しているような激動の変革期において,過去からの延長線上に未来が存在すると考えるのは危険であるという問題意識を持っています。
裁判とは,法令等に基づいて,私人間の紛争を公権的に解決する手段であると考えています。そして,その際には,経済合理性がもっとも重視されるべきだと考えます(その意味で,コスト割れするような訴訟提起はお勧めできませんし,また,敵対する相手に復讐することを主目的に訴訟を提起する,という考え方にも同意できません)。したがって,裁判を無用に引き延ばすことなく,できるだけ早急に低コストで紛争解決することが弁護士の重要な任務の一つだと思います。
証拠に乏しい裁判は,はっきり言って厳しいです。裁判の帰趨は,証拠が全てだと言っても過言ではないかもしれません。この点,テレビの法律娯楽番組は,証拠が揃っていることが前提になっているので,実際の裁判の厳しさとはまったく比較になりません(FAQも参照して下さい)。
私は,受任した裁判がどのような結果になるにせよ,依頼人の方に納得していただくことが重要であり,そのためには,依頼人の方との連絡を密にするともに,最善の解決手法について,依頼人の方と常に議論して考えていきたいと思います。また,自分に与えられた個々の案件には,時間をできる限り投入して,手を抜くことなく丁寧な処理を図っていきたい,と考えております。
今後は,訴訟・調停のような法的紛争の解決に加えて,企業の資本政策や資金調達などに関するアドバイス業務にも注力していきたいと思います。